MAILMAGAZINE

Vol.11

NATSKO SEKI Interveiw

イギリスのデジタルアートワークの進化は素晴しいと思います。ヨーロッパの他国よりも抜きん出てますし、アメリカの作家でさえ、時にはは遅れを取っているとさえ感じるほどです。

ロンドンの進化しつつある多くのデジタル作家のなかでも、モダンさと日本人ならではの愛らしさを兼ね備えて、日本とヨーロッパで活躍している日本人のイラストレーターがいます。

NATSKO SEKIさんです。

今春、彼女の展覧会で作品を前にして、作品の宇宙に漂う人間たちとの風合いが妙に懐かしい彼女の世界に感動しました。その出会いがきっかけで、当社が制作プロデュースをしたブックでご一緒に仕事ができたことはとても幸運なことでした。その仕事を通して、当社で、彼女の日本での仕事をマネージメントすることになりました。

彼女のインタビューから、彼女の作品にある世界観をお伝えできたら、とても嬉しく思います。

1) 美術を最初に学んだところはどこですか?

ロンドンのCentral Saint Martins College of Art and Designでファウンデーション科を一年学びました。

2) その場所を選んだ理由は?

仕事をやめてグラフィックデザインの勉強をしたいと考えた際に、思い切ってイギリスで学ぼうと決めました。ロンドンには友人も同校で学んでいて、よい評判を聞いていました。

3) ファウンデーション科ではどんなことを勉強されたのですか?

1年間でデザインに関する様々な分野を一通り学びました。空間、プロダクトデザイン、ファッション、テキスタイル、グラフィック、イラスト、、。自分がどの分野に興味があって、どの分野が得意なのかを見極める一年間でした。私の場合、入学当初はグラフィックデザインを学びたいと思っていましたが、一年後にはイラストに決め、ブライトン大学(University of Brighton) で、イラストレーション科を専攻しました。

4) ブライトンはロンドンから南の都市ですよね。何故ブライトン大学を選択したのですか?

natsko_interview06ロンドンよりももっとイギリスらしい所、もっと勉強に集中できる所を探しました。Glasgow School of ArtとUniversity of Brighton と両方合格して、共にイラスト科は評判がよいので迷いました。北か南か。穏やかだけれど活気があって楽しそうなブライトンの街の雰囲気で決めました!

(写真)ブライトンビーチ。
ここは夏でも服を着た人がごろごろしています。ブライトンの人々にとってビーチは庭みたいな場所。授業が終わったらちょっと海辺で寝転がって、その後また学校に戻ってワークを始めたり。

5) ブライトン大学ではどんなことを学びましたか?

課題の設定には自由が多くあり、イラスト科の中でも、実に様々なことをする人がいました。私もアニメーションやフィルム、パッケージの制作など様々な表現を模索しました。自分のイラストを探求するよりは、与えられたテーマをいかに魅力的に表現するかが問われていました。アイデアが重視です。

また、課題と平行して技術のサポートも多く、photoshop , illustrator, dreamweaverなどソフトウェアの授業があり、シルクスクリーンやレタープレスなどの昔からの技術に並んで人気でした。コンピューターは皆よく使いこなして、新しいことに挑戦していたと思います。ロンドンで人気のイラストレーターがチューターの一人で、彼が自分の作品制作にも不可欠な photoshopの知識を教えたり、シルクスクリーンの技法を教えていました。

6) 学んだことで現在に役に立っていることがありますか?

得た技術はどれも役立っています。在学中は友人同士いい刺激を与え合い、作品が伸びたと思います。ブライトンにはアンティークを売る店や、チャリティーショップも多くて、古い物へ触れる機会が多々あった事も、今のイラストのテイストに反映しています。

7) イギリスのイラストレーションはデジタル化が進んだグラフィック性が特徴だと思います。あなたの作品でもデジタルは大きな特徴になっていますか?

私の作品において、デジタルは確実に重要な要素です。コンピューターがなかったら、私はイラストレーターとして今の様に活動できていなかったと思います。コンピューターによって様々な表現が可能になり、手作業と同じくらい、楽しんでいます。” Secrets of Digital Illustration”という本がイギリスのRotovisionより出版されていますが、私もここで、自分のテクニックを数ページに渡り紹介しました。デジタルを駆使しながらもペンや鉛筆と上手に組み合わせ、手作業の暖かさや特徴をわざと全面に出す、と言った手法はイギリスでは多く見られます。

8) 世界各国のクライアントと仕事をしていますが、日本と欧米とのクライアントとの違いはありますか?

日本のクライアントから求められることは、やはり私の中にある、西欧的な要素であることが多いです。エディトリアルのギャラは日本は他国よりも低いのではと思います。

9) あなたの作品は建物と風景がドローイングで特徴があります。建物や風景を表現するきっかけになったことがありますか?

natsko_interview01建築モデル用の小さいプラスティックの人間が大好きで、集めたりしていました。「小さい人」をとてもかわいいと思います。写真を撮る時も人を小さく撮るのが好きで、絵を描く時もそこから入りました。

10) 多くのイラストレーターは人を描くことがすきですが、なぜ建物や風景の表現が好きなのでしょか?

natsko_interview03natsko_interview04最初は小さい人を描くための背景としての建物と風景に始まったのですが、気づくと建物を描くこと、風景を描く事への興味がどんどん深まっていたという感じです。建物や空間によって絵がとてもダイナミックに変化します。そうした構図を考えるのが好きです。

(写真)私が撮る風景写真の例。人をとーっても小さく撮ります。

11) 作品に自分の人生と重なるところがありますか?

仕事は生き甲斐、というか、大好きなことです。どういった作品を作って行くかはやはり人生をどう生きて行くかを考えることにつながると思います。

12) 今はどんなサブジェクトに関心がありますか?

やはり建物でしょうか。ヨーロッパには古くて素晴らしい建築物がたくさんあり、日々目にします。建築に関する本やテレビ番組なども好きです。

13) 今後取り組んでいきたいプロジェクトはどんなものでしょうか?

目の前のイラストの仕事だけに取り組んでいても見えてこない事もたくさんあります。私のイラストのメイン手法であるコラージュについても、もっと色々な角度から探求したいと思っています。アニメーションや絵本のコラボレーションプロジェクトを企画中です。先日美術館で子供を相手にワークショップをしましたが、そうした機会も積極的に得て行きたいです。

14) ロンドンと東京の文化の違いはどんなところにありますか?

ロンドンは建物を初め、古い物を沢山残している街ですが、そこに上手に現代が取り入れられていて、エッジが効いています。例えば古い建物を活用してセンスあるモダンなインテリアを再現したり。東京は新しい物は新しいもの、レトロはレトロで人気、という風に別々の要素が共存している感じがします。

15)最後にロンドンの新しいアート情報を教えてください。

http://www.madamefigaro.jp/index.html

のコラムのページに連載が始まりました。ここでは、新しいロンドンの展覧会情報、また私のまわりのアーティストの紹介や自分の活動報告もしていきますので、ロンドンアート情報として、ぜひチェックして見てください!

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